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J1第8節(8月2日)、ホームで神戸に先制も2−3で敗れる

20・08・04
 上写真/前半29分、札幌MF荒野(27番)が先制ゴールを決め両手を広げて喜ぶ、駆け寄るMFルーカス・フェルナンデス(7番)、笑顔を見せる駒井と深井(8番)

 (写真はいずれも8月2日、札幌ドーム、撮影・石井一弘)


「億万長者」神戸には苦杯

ミシャ「高嶺」に夢を見た

 北海道コンサドーレ札幌が再開以来の「負け無し記録」に終止符を打った。2020年明治安田生命J1第8節は8月2日午後2時から札幌ドームにヴィッセル神戸を迎えて、ベスト8以上を目指した「ドリームゲーム」を行った。札幌はペトロビッチ監督の「悲願のチーム造りに向けて」と、神戸は「連敗阻止」が懸かっていた。

 「多目的選手」期待の荒野拓馬の伸張と、7月26日に横浜F・マリノスに3−1で勝利した日から始まった、愛称ミシャの「育成のシステム」が、徐々に出来つつある試合だ。3バックの一翼、左翼・高嶺朋樹を福森晃斗の代わりに据え、「荒野−高嶺−〇〇−〇〇−〇〇」と連動させていきたい。もうお分かりでしょう。
 
 電光掲示板には、7月26日と同様形式でMFが7人並ぶ。上からルーカス・フェルナンデス・深井一希・宮澤・菅大輝・駒井善成・チャナティップ・荒野(前回の試合で、石井一弘カメラマンが「プロカメラマン石井一弘の目」で書いているが、前代未聞のメンバー表)。

 試合の方は、札幌ドームに4千675人の観衆(新生コロナ時マキシマム5千人)を集め「立錐の地なし」の中で行われた。ドームの気温は22.9度、湿度は65パーセント。レフェリーは、VAR等の資格を持つ西村雄一主審(48=東京都出身)で、午後2時3分、札幌・荒野のキックオフで始まった。

 札幌の布陣はGK菅野孝憲。3バックは、右から進藤亮佑、センターに田中駿汰、左に高嶺朋樹が入った。背番号3の進藤は定位置。田中はキャプテン宮澤裕樹がボランチに上がったため。高嶺は2試合連続で福森の後釜の重責を担った。

 神戸は、35億円プレーヤー、MFアンドレス・イニエスタ(36=スペイン)、FWドウグラス(32=ブラジル)、DF酒井高徳(29=新潟県)、西大伍(32=札幌市出身)、トーマス・フェルマーレン(34=ベルギー)、MF山口蛍(29=三重県出身)らが並ぶ。1億円超プレーヤーは、ドウグラス、酒井、山口らで、この日の得点者は山口・前半31分、後半17分の2得点。もう1点はドウグラスの前半45分。山口は現役JAPAN代表、酒井は元JAPAN代表。ドウグラスは1億5千万、DFのフェルマーレンは4億9千万という。

 先取点は札幌。飲水タイム(前半24分)を終えた29分に左のDF高嶺がゴール前にアーリークロス。ゴール前で相手DFフェルマーレンが頭でクリアするが、札幌の荒野が走り込む先にこぼれる。最後はGK飯倉大樹と対面し、巧みにスライディングでゲット、先取点を挙げる。

 神戸のキャプテン・イニエスタの動きが下から左に上にと進出、札幌の選手を引き込む。その直後の31分、FWドウグラスが持ち上がり、ゴール前の山口に。GK菅野の右側を狙いゲット。2分後に1−1の同点とした。
 
 この後、同点のまま前半を終わる雰囲気だったが、神戸はDFラインまで下がっていたイニエスタが札幌DF陣を突いた右裏にロングパスで速攻。MF西が走り込み、中央のFWドウグラスに渡りゲット。1−2と逆転して前半を終える(選手交代は、神戸のFW古橋亨梧が足を痛め前半11分FW小川慶治朗に)。


【監督のハーフタイムコメント】
■札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「いいゲームは出来ている」、「相手よりハードワークしていこう」、「後半は運動量が大事になってくる。アグレッシブにいこう」

■神戸のトルステン・フィンク監督のコメント
 「最初の25分間は難しい時間帯だった」、「パスコースに顔を出そう」、「連動した動きをもっとやっていこう」


 1点を追う札幌は、得点を狙う3羽ガラス、荒野・チャナティップ・駒井が菅−宮澤−ルーカスの配球を待つ。チャナティップから浮き球が右の駒井に入り、中央へ折り返すと待ち構えていたとばかりに荒野がGK飯倉と張り合ってゴールに流し込み2−2の同点にした。

 この後札幌の両ウイングバックの菅と反対側のルーカスの個人プレーから、相手ゴール前を脅かすが得点にならない。

 相手の神戸は、DFのフェルマーレンやMFイニエスタの的確なパスが札幌陣内を脅かす。後半17分。膠着状態が一変、札幌のペナルティーエリアの外側でDF酒井が札幌のパスをインターセプト、走り込んできたMF山口がGK菅野を見据えた落ち着いたプレーで3点目をゲット(山口はこの日2得点目)。

 この後両軍の選手交代が活発になる。(23分には飲水タイム)。札幌は25分、宮澤と金子拓郎、34分深井とキム・ミンテ、同時に菅と白井康介、41分進藤からFWドゥグラス・オリベイラの4人。5人目は居なかった。ベンチ入りメンバーもスタメン11人プラス6人の17人(普通は18人)。

 神戸は前半の11分(既報)から始まり後半32分2人代え、45分イエニスタとドウグラスと5人の交代だった。

 シュート数は札幌14、神戸12。コーナーキックは札幌5で神戸3。FK(フリーキック)は札幌5の神戸14と大きな開き。結果的には札幌の隙を見逃さなかった神戸が3−2でゲームを制した。

 得点ランキングで荒野が鈴木武蔵と並んで4得点で4位タイ。1位は9得点で柏レイソルFWオルンガ(26=ケニア)、2位は5得点で鹿島アントラーズのFWエヴェラウド(29=ブラジル)と横浜F・マリノスのFWマルコス・ジュニオール(27=ブラジル)。

 8節終了で札幌は8位で変わらず。神戸も9位をキープした。札幌の次の試合は8月5日にルヴァンカップ第2節サンフレッチェ広島戦を午後7時から札幌厚別公園競技場で行う。J1リーグ第9節は8月8日午後6時から清水エスパルスとIAIスタジアム日本平で対戦する。


 上写真/前半29分、先制ゴールを決め手を上げて喜ぶ札幌MF荒野、その前で神戸MFイニエスタ(8番)が渋い顔、その右札幌DF高嶺(31番)、右端MF宮澤(10番)


 上写真/前半40分、日本代表の神戸MF山口(5番)と激しくボールを奪い合う大学卒のルーキーで2戦連続で先発起用されているDF高嶺(下)、この後体勢を立て直し前線にパスを出す強さを見せた。その右、神戸MFサンペール(6番)、右端札幌MF宮澤(10番)

■北海道コンサドーレ札幌の高嶺朋樹選手のコメント
 「相手がどうであれ、自分たちのやるサッカーは変わらない。ただ、DFとして3失点をしたので反省しなければいけない。攻撃のところでは縦パスを入れることができたが、守備のところはやはりDFとして出場した以上、失点をした以上は良い評価はできないし、されない。ホームで戦うことができてうれしいが、もっともっと頑張って日本を代表する選手になりたいと思っているので、努力を続けていきたい。」


 上写真/前半45分、神戸FWドウグラス(中央49番)に逆点ゴールを決められ、ぼうぜんとする札幌DF高嶺(31番)とMF菅(4番)


 上:左側写真/後半3分、札幌MF荒野(27番)が右からの駒井のクロスに、神戸GK飯倉に体をぶつけるようにしてボールを押し込み同点ゴールを決める。飯倉の後方元札幌の神戸MF西、荒野の左は神戸MF酒井(24番)

 上:右側写真/後半3分、札幌MF荒野(右)が同点ゴールを決めてこぶしを握る。倒れこむGK飯倉、その後方MF西(22番)、左端MF酒井

■北海道コンサドーレ札幌の荒野拓馬選手のコメント
 「今日の試合も前節(横浜FM戦と)同様にチームが1つになって勝利しようと思って試合に入った。得点のところはチームでしっかりと崩して奪いにいく姿勢を出し、そこで自分が取れたのはうれしく思っている。ただ、失点のところは自分がもっとプレスを掛けていれば、というところもあった。もっと強い守備をしなければいけないと感じた」

 「この8月は連戦があるが、自分たちは誰が出ても素晴らしいプレーができるし、それが札幌の強みだと思っている。まだまだチームとして大きくなれると思うので、今後もみんなで頑張っていきたい」


 上写真/後半17分、神戸MF山口(右から2人目)が勝越しゴールを決め、ピッチに腹ばいになったまま笑顔を見せる、これが決勝点となった。札幌GK菅野(左端)、MF菅(その右)、DF高嶺が悔しそうに天を仰ぐ。右端神戸MFイニエスタ(8番)が山口に向かって走っていく、倒れている山口の左はMF酒井(24番)とFWドウグラス


 上写真/後半27分、札幌MFチャナティップ(18番)がボールをキープし、神戸DFダンクレーのスライディングをかわす、中央MF山口(5番)



 上写真/後半追加タイム3分、札幌右からのMF駒井のクロスに札幌FWドゥグラス・オリヴェイラ(左端)が合わせようとするが、神戸DFダングレー(33番)にクリアされる、右端札幌MF白井(19番)


 上写真/神戸に2−3と敗れサポーターにあいさつする、右からMFチャナティップ(18番)、駒井(14番)、GKカウィン(29番)、2得点と気を吐いたMF荒野(27番)、白井(19番)、DF田中、GK菅野ら札幌の選手たち


 上:左側写真/後半開始早々、タッチを割って自分の所に飛んできたボールを、スローインする神戸MF西に渡す札幌のペトロビッチ監督
 
 上:右側写真/後半17分に決勝点となる勝越しゴールを決めた神戸MF山口(左)をたたえるトルステン・フィンク監督

 
■北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督のコメント
 「非常に素晴らしいゲームが見られたと思う。神戸は素晴らしく、その強い相手に対してリスクのある戦いをし、選手たちは最後まで素晴らしいプレーを見せてくれた。ただし、失点が安かったように思う。2−2からチャンスがあり、3−2にするチャンスがあったが、その直後のミスから逆に3点目を献上した。内容に結果が伴っていない試合だと思う。ただし、選手たちは最後まで自分たちの狙いと力を出してくれた。サッカーは内容に結果が伴うとは限らない厳しい世界だが、我々は継続して今日のサッカーをやっていきたい」


■ヴィッセル神戸のトルステン・フィンク監督のコメント
 「まず試合に関して、すごく攻撃的な展開が多く、5つのゴールが入って観客は面白い試合が見られたと思う。立ち上がりは私のチームは本当に良くなく、相手が1点を取ってしまい、難しい状況だったんですが、そういう難しい状況の中でゴールを奪っていったのは良いチームの証拠であると思いますし、悪いときこそ頑張る強さというか、前に向かって逆転をするぞという振る舞いが今日は見られたので、監督としては満足しているし、後半に入っても特にデュエルだったり、1対1やチャンス作りが数多くできたので、本当に満足しています」
池田淳 写真はいずれも石井一弘撮影