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「ともにのりこえてみせる」と!札幌と鹿島の練習試合が電波に乗った

20・03・24
 2020年3月21日、茨城県鹿嶋市のカシマスタジアムで、北海道コンサドーレ札幌と鹿島アントラーズの練習マッチが無観衆のフェンスに「ともにのりこえてみせる」のスローガンのもとで行われた。2日前に両者の幹部とJリーグのスタッフが「中断を続けるプロ集団とサポーターらのジレンマを少しでも慰めよう」と発案した。これまた異例のJリーグゲーム独占動画配信会社のDAZNが配信を請け負った。

 この3拍子そろった計らいは、練習試合相手のいない札幌と、ファンと共にありたい鹿島の間で、とんとん拍子で企画された。Jリーグの原博実副理事長と2人の解説者、元鹿島の選手中田浩二氏(40=滋賀県出身)とコンサドーレの河合竜二氏(41=東京都出身、コンサドーレC.R.C)で、開催の経緯や試合の解説、インタビューを行った。

 試合の方は午前11時スタートで、前半(1本目)、後半(2本目)共に45分ハーフで行われた。ウエザーの公式発表は無いが、気温18度、無風、無観衆で行われた。審判は岡部拓人主審(38=福島県出身)、「今季の審判界を担うホープ」と言われている。

 鹿島のキックオフで始まったが、国技の大相撲が「コロナウイルス流行」で客席の空白は見慣れたせいか、「真剣な両軍の展開に見入ってしまった」。

 札幌のスタメンはGK菅野孝憲、DF駒井善成、田中駿汰、福森晃斗、MF高嶺朋樹、荒野拓馬、WB白井康介、菅大輝、3トップ鈴木武蔵、チャナティップ、アンデルソン・ロペス。

 鹿島はGKクォン・スンテ、DF広瀬陸斗、犬飼智也、町田浩樹、永戸勝也、MF三竿健斗、小泉慶、和泉竜司、荒木遼太郎、FWファン・アラーノ、エヴェラウド。

 前半は、札幌が押し気味に展開、鈴木が何度も惜しいシュートを外していた。終盤の45分に札幌MFのこの日のキャプテン荒野が、右足首ねんざの模様で退場した。前半は0−0で札幌やや押し気味。

 後半は、荒野に代わって、MF深井一希がピッチへ。深井は昨季に右太もも裏の肉離れで、合宿中に徐々に回復したが、実戦は初めて。「シンプルにプレーすることで、守備もうまく行った」と順調な回復。

 先取点は鹿島、後半4分、左から単独でアラーノが強烈なシュートを叩き込んだ。次は同18分、札幌のエース武蔵が右の白井からのセンタリングを頭で決めて1−1の同点。しかし直後の同20分、鹿島のCK(コーナーキック)、DFから190センチの町田が上がってきて見事に頭で決めた。

 札幌は1−2でリードされたが、得点機を感じさせた雰囲気の中、選手交代では後半24分にチャナティップと金子、MF白井康介とルーカス・フェルナンデス。同32分にはFWアンデルソン・ロペスとジェイの交代が行われた。

 中盤から終盤(アタッキングゾーン=ハイプレス)のトライアングルから、逆サイドへのロングパスが実り出した。後半33分に左ペナルティーエリア前でFKを得た。福森の射程距離だ。ボールを一心不乱に見つめる。一・二歩下がる。横にいた武蔵が、一気に右足でキック。鹿島ブロック陣外側にいたDFに当たりGKが反対に飛んでオウンゴール。福森−武蔵の暗黙の了解か? 今まで見たことも無いゴール前の「秘技」を見せてもらった。これでスコアは2−2の同点。この後、同37分にはGK菅野とタイからのGKカウィンが交代した。

 確かにコンサドーレは「進歩前進」している。そしてトドメの2得点はルーカスとジェイによるデモンストレーション。3得点目は後半43分、左からの大きなクロスボール。鹿島の選手はGK前へ集まり過ぎている。左サイドから一気に右のルーカス。中央へクロスと上げるとジェイがヘディングで合わせた。さらに同47分にはまたもルーカスからジェイが豪快ヘッド弾。2本とも難なくジェイが頭で叩き込んだ。あっぱれである。45分ハーフで行われた1試合目は札幌が4−2で勝利した。

 2試合目の35分ハーフはDAZNでの放映は無かった。ジェイがここでも2得点したと「道新スポーツ」。前半(3本目)2−1、後半(4本目)3−3。5−4で札幌が勝ちを収めた。1試合目と2試合目の合計スコアは9−6で札幌に軍配。鹿島とのJリーグの対戦成績は1勝3分け12敗。今年は一矢を報いたい。中断とコロナから「得るものを鹿島より大きく」は、おがり過ぎか?


■北海道コンサドーレ札幌のミハイロ・ペトロビッチ監督のコメント
 「今日のゲームは強い鹿島に対して我々が狙いとするサッカーというものを十分にだすことができたゲームだったと思います。しっかりと【前からのプレス】そして、【ボールを持ってからの自分たちの攻撃の仕掛け】という部分を含め、今日のゲームは良いものを出すことができたと思います。

 2試合目に関しても、選手たちは自分たちの目指すサッカーというものを十分に出してくれました。もちろん、まだまだ我々はチームとして取り組まなければならない課題がありますけれども、ただ2試合目も選手たちはこれまでトレーニングキャンプを通してやってきたことをしっかりと見せてくれたと思います。全体を通して、今日の鹿島戦は非常に我々にとって良い練習試合になったと思います」


■北海道コンサドーレ札幌の鈴木武蔵選手のコメント
 「いい形での局面がたくさんできていたと思います。全体としては良かったと思いますが、僕を含め、さらに点をとれたという場面があったので、そこはしっかり突き詰めていきたいです。

 フリーキックは「俺が蹴ったほうが入るかもしれないよ」と福森選手に言いました。練習試合なのでトライしてみようと蹴りましたが、相手に当たってではありましたが、入って良かったです。90分通して攻守ともにいい連動性で戦うことができたと思います。ボールを奪う場面、相手を崩す場面が、しっかり作れてきたのでこのまま続けてやっていきたいと思います。

 やることは練習試合でも公式戦でも変わりません。相手に負けたくないという強い気持ちで公式戦と同じように挑み、勝利することができました。今はこのような状況ですが、僕たちはしっかりと準備していくしかないですし、キャンプが伸びて、準備期間がしっかりとれているんだと、ネガティブにならずに準備していきたいと思います」


■北海道コンサドーレ札幌の福森晃斗選手のコメント
 「DAZNの中継があって、みなさんに見ていただいていた中で、鹿島相手に勝ち切れたということは収穫だと思っていますが、失点を減らすという去年からかかえている課題があった中で2失点してしまったので、その点はしっかり反省しなければと思います。ずっとJ1で優勝を争っている鹿島相手に(1本目2本目の90分で)4得点という複数得点で勝ち切れたというのは、自信につながったと思います。

 チームとして、キャンプ中からずっとハイプレスでプレーしていくということを意識してやってきました。鹿島の選手は球際にとても強いのですが、それ以上に一人一人気持ちを入れてプレーしていこうということで試合に臨みました。

 サポーターのみなさんの応援というのは自分たちの力になるので、今日は無観客で寂しいという気持ちはありました。満員の厚別や札幌ドームで試合をしたいという気持ちがより高まったと思います。

 失点を減らすという守備のところは、しっかり声をだして、集中してやっていかなければならないと思います。攻撃はいい場面もあったので、守備についてもう一度見つめ直さないといけないなと思います。今日まで良い準備をして勝利することができました。リーグ戦でもしっかり勝っていきたいと思いますので、引き続き応援よろしくお願いします」
池田淳