サッカーアラカルチョ

一覧に戻る

ヨーロッパフットボール回廊「史上最大規模のW杯北米大会組み合わせの明暗」

25・12・18
 12月6日、主催国アメリカの首都ワシントンで2026FIFAワールドカップの組分け抽選会が開催された。アメリカ大統領トランプの出席で幕を開けた最大規模48か国参加、そして北米アメリカ、メキシコ、カナダ3か国での初の大規模共同開催での抽選会となった。

 過去2か国の共同開催は2002年の日韓大会があったが今回2026年の大会は北米3か国を渡り歩く大規模大陸間での一大イベントとして次のような点が挙げられる。


*48か国参加チームの移動距離も最大。選手の疲弊とけが、そしてサポ
 ーターは?

*6月11日から7月19日までの大会期間も最長

*天候も猛暑の北米での暑さ対策はいかに?

*出場国の勝敗予想は? まだ決まっていないグループリーグも

*そしてW杯の入場切符代も過去最高額! サポーターは購入できるのか?   
 申し込みは12月11日より始まった。抽選にて決定される。

*主催国の一つであるアメリカの大統領トランプ氏にフットボール平和賞を事 
 前の抽選会にて授与し、『スポーツには政治を持ち込まない』というテーゼ 
 を覆したFIFA会長インファンテイーノ(元UEFA=ヨーロッパフット
 ボール協会長)氏のカリスマ的なリーダーシップがスポーツ界に今後どう影
 響するのか

*このW杯を契機に果たして世界の戦争、紛争にどう影響を与えるのか。ロシ
 ア対ウクライナ、ガザ対イスラエル、アメリカ対ベネズエラ、カンボジャ対
 ラオス等々が今日的に課題となるイベントであると指摘されている(ちなみ
 にロシアは制裁の為予選不参加、ウクライナ、イスラエルは予選出場、ベネ
 ズエラも予選出場している)。


■さて現在予選の日程は決定されたが果たしてどの国がまずは予選を突破する
 のかグループごとに大胆な予想をしてみたい。

・グループA
メキシコ、南アフリカ、韓国、UEFAプレーオフD(筆者予想チェコ)
 =メキシコとチェコがベスト24進出と予想

・グループB
カナダ、UFFAプレーオフA(イタリア予想)、カタール、スイス
 =スイスとイタリアがベスト24進出と予想

・グループC
ブラジル、モロッコ、ハイチ、スコットランド
 =ブラジル、スコットランドがベスト24進出と予想

・グループD
USA、パラグアイ、オーストラリア、UEFAプレーオフC(トルコ予想)
 =パラグアイ、トルコがベスト24進出と予想

・グループE
ドイツ、アイボリーコースト、エクアドル、クラカオ
 =ドイツ、アイボリーコーストがベスト24進出と予想

・グループF
オランダ、日本、チュニジア、UEFAプレーオフB(ポーランド予想)
 =オランダ、日本がベスト24進出と予想だが激戦区のリーグ

・グループG
ベルギー、エジプト、イラン、ニュージーランド
 =ベルギー、エジプトがベスト24進出と予想

・グループH
スペイン、ケープ・ベニク、サウジアラビア、ウルグアイ
 =スペイン、ウルグアイがベスト24進出と予想

・グループI
フランス、セネガル、大陸間プレーオフ(南米のボリビア予想)、ノルウェー
 =フランス、ノルウェーがベスト24進出と予想

・グループJ
アルゼンチン、アルジェリア、オーストリア、ヨルダン
 =アルゼンチン、オーストリアがベスト24進出と予想

・グループK
ポルトガル、大陸間プレーオフ(アフリカのコンゴ予想)、ウズベキスタン、コロンビア
 =ポルトガル、コロンビアがベスト24進出と予想

・グループL
イングランド、クロアチア、ガーナ、パナマ
 =イングランド、クロアチアがベスト24進出と予想

 なお、ベスト32に入るには上記24国以外に、各グループの3位の合計12か国から上位8か国がベスト32入りし、その後ベスト16、ベスト8の準々決勝、準決勝、決勝と進み優勝者がジュレーミ杯を獲得するトーナメントである。従い各グループで3位となってもチャンスはあることになる(現段階ではその予想は難しい)。


■まだすべての参加国が決まっておらず、どこが優勝するかの予想はつけが 
 たいが、FIFAランキングの1位スペイン、2位アルゼンチン、3位フ
 ランス、4位イングランドがベスト4へ進出する可能性は高いと予想され
 ている。


■世界のブックメーカーは優勝国の掛け率を発表しているがその順位は下
 記の通り。

1位スペイン4/1
2位イングランド6/1
3位フランス7/1
4位ブラジル15/2
5位アルゼンチン8/1
6位ポルトガル11/1
7位ドイツ12/1
8位オランダ20/1
・・・・日本100/1となっている。森保ジャパンが優勝するためにはこれら強豪に勝ち抜いていかねばならない。なお100/1にはクロアチアが位置しておりL組を引いたイングランドはこの一戦が鍵となると見られている。


■さて日中40度近くなる6・7月のアメリカでの試合には暑さ対策として

1:午前2時キックオフの試合を決めている。7月14日のスコットランド対ハイチ戦。真夜中の試合、観客は来るのか?

2:イングランドはダラスでの試合はスタジアムの屋根を閉め冷房を付けたインドアで行う予定。

3:ご存じメキシコシティでの試合は酸素濃度が低く高地対策が必要であり、メキシコシティでの試合を行う国は高地順応対策が必要であろう。アメリカのデンバーにはスポーツの高地対策としてのナショナルスポーツセンターがありこの地で高地順応を図る必要も出てくるかもしれない(1994年のアメリカW杯でも多くの国がこの施設を利用していた=筆者も日本W杯準備のため訪問研修した)。


■そして最大の問題点が浮き彫りにされている。
 チケット問題である。過去にもフランス大会(1998年)ではチケット予約していても、現地で現物が手に入れず多くのサポーターが観戦できなかったが今回の北米W杯はチケットの値段がバカ高く、既に12月11日よりインターネットでのチケット予約が開始されたにもかかわらず果たして合理性があるのか物議を呼んでいる。

 ちなみに1回戦から決勝まで8試合観戦の通し切符カテゴリ1の値段は何と12,357ポンド(約253万円)、また決勝戦(ニューヨークメルトライフスタジアム)の切符のうちプレミアム切符1枚は6615ポンド(135万円)、スタンダード切符は4162ポンド=85万円、サポーター切符は3119ポンド=64万円である。

 またイングランド対クロアチア戦の1試合切符はカテゴリ1、一人では523ポンド(107,215円)、カテゴリ2は372ポンド(76,260円)、一番安いカテゴリ3は198ポンド(40,590円)。これはいわゆるダフ屋の値段ではない。公式のFIFAの値段である。

 切符代だけではない。航空運賃もここ数年で倍近くなり、かつホテル代も高騰、アメリカの交通手段は車であり通常スタジアムは中心から地下鉄等などの公共交通で行かれるところは少ない。そのコストを加えると世界一の高額なW杯を観戦するだけの財力がないと達成できないと特にイングランドのサポーターからはブーイングである。

 金持ちしか現地のスタジアムで応援できない仕組みをどうするのか、組織委員会とFIFAは今後協議を進めるとは言っているが一旦発表した手前世界一高額のワールドカップとして押し切るのか注目である。

 それでもW杯は特別現地で観戦応援したいですよね!?


◆筆者プロフィル◆
伊藤庸夫(いとうつねお)
東京都生まれ
浦和高校、京都大学、三菱重工(日本リーグ)でプレー、1980年より英国在住
1980−89:日本サッカー協会国際委員(英国在住)
  89−94:日本サッカー協会欧州代表
  94−96:サンフレッチェ広島強化国際部長
2004−06:びわこ成蹊スポーツ大学教授
  08:JFL評議委員会議長(SAGAWA SHIGA FC GM)
伊藤 庸夫