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第41回皇后杯は日テレ・ベレーザが3連覇

20・01・11
なでしこ決戦・浦和を田中の1発で沈める

 令和元年(2019年)の皇后杯JFA第41回全日本女子サッカー選手権大会決勝は12月29日午後2時から、NACK5スタジアム大宮で決勝戦が行われた。なでしこリーグ1部の日テレ・ベレーザ(東京)と同浦和レッズレディース(埼玉)が対戦、ベレーザが前半7分にキャプテン田中美南のシュートが決まり1−0で3年連続14度目の優勝を決めた。浦和は5年振り4度目の挑戦だったが、今一歩及ばなかった。

 2019年の皇后杯には、なでしこリーグ1、2部の10チームずつ20チームと北海道をはじめ国内9地域の代表28チームの48チームが参戦、11月2日から行われてきた。

 北海道からは道文教大明清高校とノルディーア北海道が出場した。道文教大明清は11月3日の対仙台大に2−0で1回戦を突破、2回戦で同23日、アルビレックス新潟チームに0−8の大差で敗退した。一方のノルディーアは、同2日にNGUラブリッジ名古屋と対戦したが1−2で敗れた。

 決勝戦は午後2時4分、ベレーザのFW田中美南のキックオフで始まった。スタンドには1万12人の観客、気温9.1度、湿度33パーセントの晴れ。審判は山下良美主審(34=東京都出身の国際審判)、副審と第4の審判員まで全て女性だった。

 ベレーザは、なでしこリーグカップとリーグ戦でも優勝、AFC女子クラブ選手権2019でも勝っており、今季の『4クラウン』を目指しての戦い。浦和は、なでしこリーグの最終戦でベレーザに勝利しての皇后杯で、同じ相手と決勝は4度目の対戦と、互いに「シーズン最後の宝物」を取りに行く。

 リーグ戦と変わらない布陣でベレーザがGK山下杏也加。3バック3MFと4人のFW。浦和がGK池田咲紀子。4バック4MFと2トップ。ベレーザが守備を少なく固め、前線でポゼッションを作り、浦和の速攻を防ぐ構え。浦和がオーソドックスな攻防で、言わば「堅守速攻」のタイプだろう。

 ベレーザがサイドを生かして攻め、相手ゴール前ではシュートを放つ。やや押し気味に試合が展開する。浦和の2トップが、センターライン付近でつぶされる。前へ出ようとするとオフサイド。こんな展開を繰り返す中で、ベレーザは右からエンドラインぎりぎりでリターン。止めに入った浦和DFの足に当たりCK(コーナーキック)を得る。前半7分の出来事。

 キッカーは背番号10籾木結花(日本代表)。左足でゴール中央にインスイングに曲がるキック。合わせたのはキャプテン田中美南(同)。右足でダイレクトシュート。DF長船加奈がマークに入ったが、一瞬間に合わなかった。その後、互いに相手ゴールを目指すが、浦和に元気がない。再三中央突破を狙うが、4バックに2人のFWでは、挟まれてキープできない。逆にベレーザのシュートをDF、GKが必死に防ぐ場面が見られた。この40分近くの攻防は長かった。前半終了1−0でベレーザがリードで折り返す。


【両監督のハーフタイムコメント】
■ベレーザ・永田雅人監督
 「気合いをかけてもプレッシャーになっては困る。マイボールを心がけて、ボールをキープするようにしよう」


■浦和・森栄次監督
 「焦らずにサイドから展開するように。後半はメンバーを少しいじって、戦法を変えたい」(実は森監督は2015−17年、ベレーザの監督で、19年から浦和を指揮している)

 
 後半が始まった。浦和の30番安藤梢(36=栃木県出身、2011年W杯優勝メンバー)が、ピッチに居た。慌てて第4の審判に靴裏を見せたり、服装点検。MF13番の長嶋玲奈と交代した。右ウイングでボールキープ、往年のポゼッションを見せた。

 試合は一進一退。浦和が選手交代で、新たな展開を模索、後半15分にMF水谷有希と佐々木繭を代え、最後の切り札でFW吉良知夏を入れて、MF塩越柚歩を外した。右からに展開で、相手GK、守備陣を翻弄するが、ゴールは遠かった。

 ベレーザは16分に元気なFW植木理子を投入、宮澤ひなたをひっこめたが、植木は果敢に攻めて3本のシュートを放って、浦和の反撃を凌いだ。

 ベレーザのこの日のシュート数は12本、浦和は8本で、ボールポゼッションでも、ベレーザの方が上回り試合終了。ベレーザは田中が決めた1点を守り抜き1−0で勝利、皇后杯優勝とともに見事『4クラウン』を勝ち取った。1969年に創立した読売サッカークラブ時代から変わらないクラブカラーの「ヴェルデ(緑色)」をまとう一員として、ベレーザが記念すべき50年目に花を添えた。
編集部